特別教育が必要な業務
労働安全衛生規則第36条第8号は、「チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務」を特別教育が必要な業務としています。労働安全衛生法第59条第3項に基づき、事業者はこの業務に労働者を就かせる前に、決められた科目と時間で教育を行います。
この教育は、国家試験に合格して得る免許とは性格が異なります。事業者の義務として行う教育で、労働安全衛生規則第38条により、事業者は受講者と科目などの記録を作成して3年間保存します。自営で作業する人や、勤務先が決まっていない人が受講する場合は、修了の扱いを受講先と勤務予定先の両方に確認しておくと安心です。
2019年の改正で何が変わったか
林業・木材製造業労働災害防止協会の解説によると、厚生労働省は伐木等作業の安全対策を強化するため、2019年(平成31年)2月12日に労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成31年厚生労働省令第11号)と、安全衛生特別教育規程の一部を改正する告示(同年厚生労働省告示第32号)を公布しました。あわせて、2020年(令和2年)1月31日付けで「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」も示されています。
協会の解説は、林業の死亡者数が平成23年以降40人前後で推移していることを、対策強化の背景として挙げています。
特別教育の科目と時間
安全衛生特別教育規程第10条が定める科目と最低時間は次のとおりです。
| 区分 | 科目 | 主な範囲 | 時間 |
|---|---|---|---|
| 学科 | 伐木等作業に関する知識 | 伐倒の方法、伐倒の合図、退避の方法、かかり木の種類と処理、造材の方法、下肢の切創防止用保護衣等の着用 | 4時間 |
| 学科 | チェーンソーに関する知識 | 種類、構造、取扱い方法、点検と整備、ソーチェーンの目立て | 2時間 |
| 学科 | 振動障害及びその予防に関する知識 | 振動障害の原因と症状、予防措置 | 2時間 |
| 学科 | 関係法令 | 法、令、規則の関係条項 | 1時間 |
| 実技 | 伐木等の方法 | 伐木、かかり木の処理、造材、保護衣等の着用 | 5時間 |
| 実技 | チェーンソーの操作 | 基本操作、応用操作 | 2時間 |
| 実技 | チェーンソーの点検及び整備 | 点検と整備、目立て | 2時間 |
東京労働局の安全衛生教育一覧でも学科9時間・実技9時間とされ、林業・木材製造業労働災害防止協会の都支部などが事業者に代わって実施している例が載っています。受講料と日程は実施団体ごとに異なります。
作業時の装備と継続教育
労働安全衛生規則第485条は、チェーンソーを用いた伐木や造材の作業で、事業者が労働者に下肢の切創防止用保護衣を着用させること、労働者もこれを着用することを定めています。特別教育の学科と実技に保護衣の着用が含まれているのはこのためです。
また、排気量40立方センチメートル以上の内燃機関を内蔵するチェーンソーは、施行令第13条第3項で、厚生労働大臣が定める規格を具備すべき機械等に含まれています。すでにこの業務に就いている人向けには、東京労働局の一覧に「チェーンソーを用いて行う伐木等の業務従事者安全衛生教育」(学科6.5時間)が載っており、知識を更新する機会として使えます。
受講前に確認したいこと
当サイトの提案:まず、自分が行う作業が伐木、かかり木の処理、造材のどれに当たるかを勤務先と確認し、特別教育の実施方法(社内か外部か)を決めてください。外部で受ける場合は、実技でどの程度の太さの立木を扱うか、保護衣やヘルメットなどの装備を持参する必要があるかを実施団体に問い合わせます。受講後は、現場で使うチェーンソーの排気量と点検の担当者も確かめておくと、作業開始前の準備が整います。
参照資料と確認日
2026年10月4日確認。年度を記載した日程・手数料は、その年度の公式案内に基づきます。