「巻上げ機運転者」が指すもの
この名称の免許や国家試験はありません。労働安全衛生規則第36条第11号は、動力により駆動される巻上げ機の運転を、特別教育が必要な業務としています。特別教育は労働安全衛生法第59条第3項に基づいて事業者が労働者に行う教育です。修了した労働者を、この記事では巻上げ機運転者と呼んでいます。
同じ号では、電気ホイスト、エヤーホイスト、それ以外の巻上げ機でゴンドラに係るものが対象から除かれています。電気ホイストを組み込んだクレーンを運転する場合は、つり上げ荷重に応じてクレーンの特別教育や免許が必要になるため、機械の種類を先に確認します。
特別教育の科目と時間
安全衛生特別教育規程第14条は、この特別教育を学科と実技で行うと定めています。
| 区分 | 科目と主な範囲 | 時間 |
|---|---|---|
| 学科 | 巻上げ機に関する知識(原動機、ブレーキ、クラッチ、巻胴、逆転防止装置、動力伝達装置、電気装置、信号装置、安全装置、巻上用ワイヤロープなどの構造と取扱い、据付方法) | 3時間 |
| 学科 | 運転に必要な一般的事項(合図方法、荷掛方法、連結方法、点検方法) | 2時間 |
| 学科 | 関係法令 | 1時間 |
| 実技 | 荷の巻上げと巻卸し | 3時間 |
| 実技 | 荷の種類に応じた荷掛けと、手や小旗を使う合図 | 1時間 |
実施方法と記録
特別教育には国の修了試験や全国共通の試験日はありません。登録教習機関が行う技能講習とは別の制度で、事業者が自社で行うか、外部の教育機関の講習を利用します。事業者は労働安全衛生規則第38条により、受講者や科目などの記録を作成して3年間保存します。科目について十分な知識と技能がある労働者には、同規則第37条により該当する科目を省略できます。
受講料や日数は実施する機関によって異なります。外部講習を利用する場合は、学科6時間と実技4時間の両方が含まれているかを案内で確認します。
年齢と事業者の義務
年少者労働基準規則第8条は、動力により駆動される巻上げ機の運転を、18歳未満の人を就かせてはならない業務に挙げています。この規定でも電気ホイストとエアホイストは除かれています。特別教育を行わずに労働者を巻上げ機の運転に就かせた場合、事業者は労働安全衛生法第119条により6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。
教育の記録と転職したときの扱い
特別教育の記録は、教育を行った事業者が労働安全衛生規則第38条により3年間保存します。国が修了者を登録する仕組みはないため、転職先で以前の受講を示すには、前の勤務先や外部講習の機関が発行した修了の書面が手がかりになります。転職先の事業者は、同規則第37条により、十分な知識と技能があると認めた科目について教育を省略できます。どの科目を省略するかは転職先の事業者が判断するため、修了の書面は受講した科目と時間が分かる形で保管しておくと説明がしやすくなります。
受講前の確認
当サイトの提案:最初に、現場の機械がウインチ型の巻上げ機なのか、電気ホイストやクレーンの一部なのかを銘板や取扱説明書で確認してください。巻上げ機であれば、事業者が教育を社内で行うか外部講習を使うかを決め、実技で扱う機種と荷掛けの方法が実際の作業に近いかを確かめます。荷をクレーンでつる作業も担当するなら、玉掛けの資格が別に必要かどうかもあわせて事業者に確認しておくと、配置後に作業を止めずに済みます。
参照資料と確認日
2026年10月3日確認。年度を記載した日程・手数料は、その年度の公式案内に基づきます。