有害液体汚染防止管理者の法的な位置づけ
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第9条の4第1項は、有害液体物質を輸送する国土交通省令で定める船舶ごとに、船舶所有者が有害液体汚染防止管理者を選任しなければならないと定めています。選任の対象は、その船舶に乗り組む船舶職員です。管理者は船長を補佐し、船舶からの有害液体物質の不適正な排出の防止に関する業務を管理します。外国船舶にはこの規定は適用されません。
同法施行規則第12条の2の5は、選任が必要な船舶を「有害液体物質を輸送する総トン数200トン以上の船舶(引かれ船等を除く)」としています。試験に合格して免許を受ける資格とは仕組みが異なり、要件を満たす乗組員を船舶所有者が選任する制度です。
選任されるための要件
施行規則第12条の2の6によると、有害液体汚染防止管理者は次の両方に当てはまる必要があります。
- 海技免許を受けている者、または船舶職員及び小型船舶操縦者法第22条の2第1項により船舶職員になることの承認を受けている者であること。
- 有害液体物質を輸送する船舶に乗り組んで有害液体物質の取扱作業に1年以上従事した経験があること。または、規則が掲げる養成講習(国土交通大臣の登録を受けた登録消防講習と登録学科講習)を修了していること。
旧記事は「受講資格はない」と説明していましたが、選任されるには海技免許などの前提資格が必要です。講習だけで要件がそろうわけではない点に注意してください。
登録講習で学ぶ内容
施行規則第12条の2の25は、登録学科講習を講義で行い、次の科目をそれぞれ定められた時間以上行うよう求めています。
| 登録学科講習の科目 | 時間 |
|---|---|
| 有害液体物質の化学的特性及び物理的特性に関する知識 | 2時間 |
| 有害液体物質の取扱いに関する実務 | 2時間 |
| 有害液体物質の処理に関する知識 | 2時間 |
| 有害液体物質を輸送する船舶における火災、爆発及び消火実務 | 2時間 |
| 検知器具及び保護具の取扱い方法 | 1時間 |
| 災害防止対策 | 2時間 |
| 海上汚染防止対策 | 2時間 |
| 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法令 | 2時間 |
登録消防講習は施行規則第12条の2の10で実習により行うと定められ、有害液体物質火災消防実習と流出有害液体物質処理実習をそれぞれ3時間以上行います。講習を実施する登録機関の名称、開催日程、受講料は、今回の確認では一次資料で特定できていません。
選任後の業務と関連する規程
法第9条の4第2項により、船舶所有者は有害液体汚染防止規程を定めて船内に備え置くか掲示します。同条第4項は油濁防止管理者に関する規定を準用しており、管理者は規程の内容を乗組員などに周知します。施行規則第12条の2の28は、規程に管理者の選任・解任の手続や職務・権限を記載するよう定めています。
緊急時の手引書と記録
法第9条の4第6項は、有害液体物質を輸送する国土交通省令で定める船舶ごとに、船舶所有者が有害液体汚染防止緊急措置手引書を作成し、船内に備え置くか掲示するよう定めています。手引書には、有害液体物質の不適正な排出があったときや排出のおそれがあるときに、船内にいる人が直ちにとるべき措置を記載します。施行規則第12条の2の28が定める有害液体汚染防止規程の記載事項には、貨物の積込み・積替え・取卸し、貨物艙の洗浄、水バラストの積込みと排出などの場面ごとの措置、有害液体物質記録簿への記載と保管、廃有害液体物質等処理施設の利用、船員への周知と教育が含まれます。
選任を目指す人の確認手順
当サイトの提案:最初に自分が海技免許などの前提資格を持っているかを確かめ、次にケミカルタンカーなど有害液体物質を輸送する船での取扱作業の乗船履歴を数えてください。1年に満たない場合は、勤務先の船舶管理部門を通じて登録消防講習と登録学科講習を実施する機関を確認し、両方の講習の受講計画を立てるのが確実です。修了証の提出先や選任手続は船舶所有者が行うため、事前に担当部署へ確認しておくと安心です。
参照資料と確認日
2026年10月4日確認。年度を記載した日程・手数料は、その年度の公式案内に基づきます。