統括安全衛生責任者の位置づけ
労働安全衛生法第15条は、一の場所で行う事業の仕事の一部を請負人に請け負わせている元方事業者のうち、建設業その他政令で定める業種の事業を行う者を「特定元方事業者」と呼び、統括安全衛生責任者の選任を義務づけています。政令で定める業種は、施行令第7条により造船業です。つまり対象は建設業と造船業の元方事業者になります。
統括安全衛生責任者は試験や講習の修了で得る資格ではありません。第15条第2項は「当該場所においてその事業の実施を統括管理する者」を充てるよう定めており、現場所長など、その現場の工事全体を実際に統括している人が選任されます。
選任が必要になる人数
選任義務は、同じ場所で作業する人数が政令で定める数以上のときに生じます。施行令第7条は、ずい道等の建設、作業場所が狭いなどの理由で省令が定める場所での橋梁の建設、圧気工法による作業を行う仕事では常時30人、それ以外の仕事では常時50人と定めています。
現行の第15条は、2026年10月1日に施行された令和7年法律第33号による改正後の条文です。人数を数える対象は「作業従事者」と書かれ、労働者のほか、労働者以外で同じ現場の作業に従事する人も含む書き方になっています。
統括管理する事項
統括安全衛生責任者は、元方安全衛生管理者を指揮し、第30条第1項各号の事項を統括管理します。具体的には、協議組織の設置と運営、作業間の連絡と調整、作業場所の巡視、関係請負人が行う安全衛生教育への指導と援助、建設業などでの工程と機械・設備の配置に関する計画の作成と指導です。
発注者が一の場所の特定事業の仕事を二以上の請負人に請け負わせる場合、第30条第2項により発注者は請負人の中から措置を講ずべき者を一人指名します。指名がないときは労働基準監督署長が指名し、第15条第3項により、指名された事業者が人数の基準に当たれば統括安全衛生責任者を選任します。
下請側の請負人は第16条により安全衛生責任者を選任し、統括安全衛生責任者との連絡などを担わせます。また、統括安全衛生責任者の選任義務がない中小規模の建設現場では、第15条の3に基づき店社安全衛生管理者の選任が求められる場合があります。
選任後の報告と関連する教育
労働安全衛生規則第664条により、特定元方事業者は混在作業の開始後、遅滞なく、事業の種類や関係請負人の名称に加え、統括安全衛生責任者を選任しなければならない旨とその氏名を、所轄の労働基準監督署長に報告します。
法令上の受講義務とは別に、東京労働局の安全衛生教育一覧には7時間の「統括安全衛生責任者教育」が載っており、建設業労働災害防止協会東京支部などが実施しています。
選任する側の確認事項
当サイトの提案:元請として現場を立ち上げるときは、まず下請を含めた作業従事者の最大人数を見積もり、施行令第7条の30人または50人の基準に当たるかを確認してください。当たる場合は、現場を実際に統括する人を選任し、第664条の報告に氏名を記載します。現行条文は労働者以外の作業従事者も含めて数える書き方なので、その前提で人数を見積もり、判断に迷ったときは所轄の労働基準監督署に相談すると確実です。
参照資料と確認日
2026年10月4日確認。年度を記載した日程・手数料は、その年度の公式案内に基づきます。