「技能講習による資格」が指す範囲
この記事の題名は一つの資格名ではなく、労働安全衛生法にもとづく技能講習の修了で得られる資格のまとまりを指しています。法第76条は、技能講習を別表第18に掲げる区分ごとに学科講習または実技講習で行うと定めています。講習を行うのは国ではなく、都道府県労働局長の登録を受けた登録教習機関です(法第77条)。
技能講習の修了で得られる資格は、使い道によって大きく二つに分かれます。一つは法第14条の作業主任者で、事業者は政令で定める危険な作業について、免許を受けた人か技能講習を修了した人の中から作業主任者を選任しなければなりません。もう一つは法第61条の就業制限業務で、決められた業務には免許を受けた人や技能講習を修了した人などしか就けません。
就業制限業務の例
施行令第20条は、就業制限のかかる業務を列挙しています。技能講習が関係する業務には、たとえば次のものがあります。
- 最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転(道路上の走行を除く)
- 機体重量3トン以上の一定の建設機械の運転(道路上の走行を除く)
- 最大荷重1トン以上のショベルローダー・フォークローダーの運転
- 最大積載量1トン以上の不整地運搬車の運転
- 作業床の高さ10メートル以上の高所作業車の運転
- つり上げ荷重1トン以上のクレーン等の玉掛け
- 可燃性ガスと酸素を用いる金属の溶接・溶断・加熱
業務ごとにどの免許や技能講習が必要かは、安衛則第41条が引用する別表第三で決まっています。施行令第20条の各号は荷重や高さなどの数値で範囲を区切っているので、使う機械の能力表示を確かめてから講習を選ぶ必要があります。法第61条第3項により、業務に就くときは修了証などの資格を証する書面を携帯しなければなりません。
受講資格がある講習とない講習
東京労働局の一覧によると、受講資格が定められているのは一部の作業主任者技能講習です。たとえば木材加工用機械作業主任者は木材加工用機械による作業に3年以上、プレス機械作業主任者はプレス機械による作業に5年以上、コンクリート破砕器作業主任者はその作業に2年以上の経験などが求められます。足場の組立て等、地山の掘削及び土止め支保工、型枠支保工、建築物等の鉄骨の組立て等、はい作業などの作業主任者技能講習にもそれぞれ条件があります。
同じ一覧は、ここに記載されていない区分の技能講習には受講資格が定められていないと説明しています。受講資格の細かな条件のうち「その他厚生労働大臣が定める者」については、各技能講習の技能講習規程を見るよう案内されています。
修了証の交付と紛失したとき
法第76条第2項により、技能講習を行った機関は修了者に技能講習修了証を交付します。講習は登録教習機関ごとに開かれるので、日程、会場、受講料は機関によって異なります。全国共通の受験日や公定料金はありません。
神奈川労働局は、修了証を紛失した場合は受講した講習実施機関に問い合わせて再交付の手続をするよう案内しています。どこで受講したか分からなくなったときは、一緒に受講した同僚の修了証を参考にする方法も示されています。神奈川労働局のように、管内の技能講習等実施機関の一覧を公開している労働局もあります。
講習を選ぶときの確認手順
当サイトの提案:まず、担当する作業が施行令第20条の就業制限業務なのか、作業主任者の選任が必要な作業なのかを分けて考えてください。次に、使う機械の最大荷重や機体重量を確認し、施行令第20条の数値に当たるかを判断します。そのうえで、労働局が公開している実施機関一覧などで登録教習機関を探し、受講資格の有無、講習の日数、受講料を問い合わせます。修了後は修了証の写しを社内で保管し、現場では原本を携帯する運用にしておくと、紛失時の再交付にも対応しやすくなります。
参照資料と確認日
2026年10月4日確認。年度を記載した日程・手数料は、その年度の公式案内に基づきます。