対象となる業務と制度の位置づけ
労働安全衛生規則第36条第1号は「研削といしの取替え又は取替え時の試運転の業務」を特別教育が必要な業務としています。グラインダーや研削盤のといしを交換し、交換後に試運転する作業がこれに当たります。事業者は、この業務に労働者を就かせる前に、労働安全衛生法第59条第3項に基づく特別教育を行わなければなりません。
この教育には筆記試験がなく、国が免許証を交付する制度でもありません。「研削といし取替試運転作業者」は、特別教育を修了した人を指す呼び方として使われています。修了証は教育を行った事業者や実施機関が発行します。
機械研削用と自由研削用の教育時間
安全衛生特別教育規程は、機械研削用といし(第1条)と自由研削用といし(第2条)を分けて定めています。時間は最低時間です。
| 科目 | 機械研削用 | 自由研削用 |
|---|---|---|
| 研削盤・といし・取付け具等に関する知識 | 4時間 | 2時間 |
| といしの取付け方法及び試運転の方法に関する知識 | 2時間 | 1時間 |
| 関係法令 | 1時間 | 1時間 |
| 実技:といしの取付け方法及び試運転の方法 | 3時間 | 2時間 |
| 合計 | 10時間 | 6時間 |
学科では、研削盤の種類と構造、といしの種類・表示・安全度、覆いや保護具、研削盤とといしの適合確認、外観検査と打音検査、締付け方法、バランスの取り方などを扱います。携帯用グラインダーなど手で持って使う機械が中心なら自由研削用、据え置きの研削盤なら機械研削用、と扱う機械に合わせて選びます。両方を扱う場合は、それぞれの教育が必要かを社内で確認してください。
作業で守る主な規則
労働安全衛生規則第118条により、事業者は研削といしについて、その日の作業を開始する前には1分間以上、といしを取り替えたときには3分間以上の試運転をしなければなりません。第117条は、回転中のといしが労働者に危険を及ぼすおそれがあるときに覆いを設けることを求めています(直径50ミリメートル未満のといしは除外)。第119条は最高使用周速度を超える使用を、第120条は側面使用を目的としないといしの側面使用を禁止しています。
教育で学ぶ外観検査・打音検査や試運転の方法は、これらの規則を現場で守るための内容です。
受講方法・費用と事業者の義務
教育は事業者が自ら行うか、安全衛生団体などに委託します。東京労働局の一覧では、機械研削用が学科7・実技3、自由研削用が学科4・実技2として掲載され、実施団体の連絡先も示されています。受講料と日程は実施機関ごとに異なり、全国共通の金額はありません。
事業者は受講者・科目等の記録を3年間保存します(労働安全衛生規則第38条)。労働安全衛生法第59条第3項に違反した場合、第119条により6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。
外部に委託した教育でも、内容の確認は事業者の責任です。山口労働局は、ある実施者が発行した特別教育修了証が教育時間の不足等により無効であると公表し、その修了証で労働者を業務に就かせていた事業者に改めて特別教育を行うよう求めました。同局は、委託する場合には法令に定められた教育科目・範囲・時間どおりに実施されたかを事業者が確認する必要がある、と示しています。
受講前に確認したいこと
当サイトの提案:最初に、職場で使う研削盤が機械研削用か自由研削用かを機械ごとに一覧にします。次に、講習の案内で学科と実技の時間が上の表を満たしているかを確認し、実技を講習会場で行うのか自社で行うのかを確かめます。修了後は、作業開始前1分・取替え後3分の試運転を作業手順書に書き込み、修了証の写しとあわせて記録を残しましょう。
参照資料と確認日
2026年10月3日確認。年度を記載した日程・手数料は、その年度の公式案内に基づきます。