「軌道装置動力車運転者」が指すもの
この名称の免許や国家試験はありません。労働安全衛生規則第36条第13号は、労働安全衛生法施行令第15条第1項第8号に掲げる機械等のうち、巻上げ装置を除いたものの運転を、特別教育が必要な業務としています。特別教育は労働安全衛生法第59条第3項に基づいて事業者が労働者に行う教育で、修了した労働者をこの記事では軌道装置動力車運転者と呼んでいます。
施行令第15条第1項第8号が対象にしているのは、動力車と動力で駆動される巻上げ装置で、軌条により人または荷を運搬するものです。鉄道営業法、鉄道事業法、軌道法の適用を受けるものは除かれます。営業用の鉄道や路面電車の運転士はこの教育の対象ではなく、トンネル工事や工場、鉱山などの構内に敷いた軌道で使う動力車が対象です。
特別教育の科目と時間
安全衛生特別教育規程第15条は、この特別教育を学科と実技で行うと定めています。
| 区分 | 科目と主な範囲 | 時間 |
|---|---|---|
| 学科 | 動力車の構造(種類と用途、原動機・動力伝達装置・制御装置・ブレーキ・連結装置・逸走防止装置などの構造と取扱い) | 3時間 |
| 学科 | 軌道に関する知識(軌条、まくら木、道床、分岐とてっさ、逸走防止装置) | 1時間 |
| 学科 | 動力車の運転に関する知識(信号装置、合図と誘導の方法、車両の連結の方法) | 1時間 |
| 学科 | 関係法令 | 1時間 |
| 実技 | 定められたコースでの動力車の運転 | 3時間 |
| 実技 | 動力車と車両の連結、合図の方法 | 1時間 |
実施方法と記録
特別教育は登録教習機関の技能講習とは別の制度で、国の修了試験や全国共通の試験日はありません。事業者が自社で行うか、外部の教育機関の講習を利用します。事業者は労働安全衛生規則第38条により、受講者や科目などの記録を作成して3年間保存します。十分な知識と技能があると認められる労働者には、同規則第37条により該当する科目を省略できます。
施行令第15条第1項第8号の機械等は、定期自主検査の対象にもなっています。運転者の教育とは別に、事業者には設備の点検に関する義務もあります。
年齢の制限
年少者労働基準規則第8条は、動力により駆動される軌条運輸機関の運転を、18歳未満の人を就かせてはならない業務に挙げています。高校生のアルバイトや18歳未満の新入社員は、特別教育を受けてもこの運転業務には就けません。同じ条文は、操車場の構内での軌道車両の入換え・連結・解放の業務や、ずい道内など見通しの悪い軌道内で単独で行う業務も、18歳未満の就業を禁止しています。
教育の記録と転職したときの扱い
特別教育の記録は、教育を行った事業者が労働安全衛生規則第38条により3年間保存します。国が修了者を登録する仕組みはないため、転職先で以前の受講を示すには、前の勤務先や外部講習の機関が発行した修了の書面が手がかりになります。転職先の事業者は、同規則第37条により、十分な知識と技能があると認めた科目について教育を省略できます。どの科目を省略するかは転職先の事業者が判断するため、修了の書面は受講した科目と時間が分かる形で保管しておくと説明がしやすくなります。
受講前の確認
当サイトの提案:最初に、使う軌道設備が鉄道事業法や軌道法の適用を受けない構内用のものかを事業者に確認してください。対象であれば、事業者が社内で教育を行うのか外部講習を使うのかを確認し、実技で使う動力車とコースが実際の現場に近いかを確かめます。軌道上で巻上げ装置も操作する場合は、巻上げ機の特別教育が別に必要か、あわせて確認しておくと安心です。
参照資料と確認日
2026年10月3日確認。年度を記載した日程・手数料は、その年度の公式案内に基づきます。