特別教育とは何か
特別教育は、労働安全衛生法第59条第3項に定められた教育です。条文では、事業者は、危険または有害な業務で厚生労働省令で定めるものに労働者を就かせるときは、その業務に関する安全または衛生のための特別の教育を行わなければならないとされています。同じ第59条の第1項と第2項は、雇い入れたときと作業内容を変更したときの安全衛生教育を定めています。
このページの名称は「特別教育による資格」ですが、特別教育は国家試験に合格して得る資格や免許とは仕組みが異なります。教育を行う義務を負うのは事業者で、労働者はその教育を受けたうえで対象業務に従事します。
特別教育が必要な業務の例
特別教育が必要な業務は、労働安全衛生規則第36条に列挙されています。2026年10月時点の現行条文には、次のような業務が含まれています。
- 研削といしの取替えまたは取替え時の試運転の業務
- アーク溶接機を使う金属の溶接・溶断などの業務
- 高圧・特別高圧・低圧の充電電路の敷設や修理などの業務
- テールゲートリフターの操作の業務
- チェーンソーを使う立木の伐木、かかり木の処理または造材の業務
- 小型ボイラーの取扱い、ゴンドラの操作、建設用リフトの運転の業務
- エックス線装置やガンマ線照射装置を扱う業務
- 産業用ロボットの教示や検査などの業務
- 足場の組立て、解体または変更の作業に係る業務
- ロープ高所作業や、フルハーネス型の墜落制止用器具を使う高所作業に係る業務
実際の条文には、荷重や機体重量などの条件が細かく付いています。たとえばクレーンや移動式クレーンの運転、玉掛けの業務は、つり上げ荷重が一定未満のものに限って特別教育の対象として列挙されています。条件を外れる作業には、労働安全衛生法の別の規定による資格が求められることがあります。対象かどうかは、作業に使う機械の能力を確認して条文と照らし合わせる必要があります。
このほか、第36条には粉じん作業、ずい道等の掘削の作業、ダイオキシン類を扱う廃棄物焼却施設の業務、石綿障害予防規則に定める作業、東日本大震災で生じた放射性物質による汚染土壌の除染などの業務も挙げられています。建設、製造、林業、廃棄物処理など、業種をまたいで多くの業務が対象になっていることがわかります。同じ業務でも、条文の改正で対象が追加されることがあるため、教育を計画するときは最新の条文を確認することが大切です。
省略・記録・実施内容のルール
労働安全衛生規則第37条により、事業者は、特別教育の科目の全部または一部について十分な知識と技能を持つと認められる労働者には、その科目を省略できます。第38条により、事業者は特別教育を行ったときに受講者や科目などの記録を作成し、3年間保存しなければなりません。第39条は、多くの業務について特別教育の実施に必要な事項を厚生労働大臣が定めるとしています。科目や時間はこの定めに従います。
特別教育は事業者が自社で行うことも、外部の講習機関に依頼することもあります。外部の講習を使う場合でも、教育を行う義務と記録を保存する義務は事業者にあります。
受講・実施前に確認したいこと
当サイトの提案:働く人は、担当する作業と使う機械の能力を上司に確認し、それが特別教育で足りるのか、技能講習や免許が必要なのかを確かめてください。事業者は、労働安全衛生規則第36条の該当号と厚生労働大臣の定める科目・時間を確認し、自社で行うか外部講習を使うかを決めます。実施後は受講者名と科目を記録し、3年間保存できる形で管理しましょう。
参照資料と確認日
2026年10月4日確認。年度を記載した日程・手数料は、その年度の公式案内に基づきます。