防火管理者を置かなければならない建物
消防法第8条により、一定の防火対象物の管理について権原を持つ人は防火管理者を定めなければなりません。消防法施行令第1条の2は、その対象を収容人員で区切っています。老人ホームなど自力で避難することが難しい人が入所する施設を含む建物は10人以上、劇場、飲食店、物品販売店舗、ホテル、病院など不特定多数が出入りする用途は30人以上、共同住宅、学校、工場などは50人以上が目安です。一定規模以上の新築工事中の建物や建造中の旅客船も対象になります。
日本防火・防災協会は、防火管理者の業務として消防計画の作成、自衛消防訓練の実施、消防設備の点検などを挙げています。具体的にどの建物が対象かは用途の組合せや管理権原の分かれ方でも変わるため、協会も事業所を管轄する消防本部や消防署への確認を求めています。
甲種と乙種の範囲
消防法施行令第3条は、防火管理者になれる人を「管理的又は監督的な地位にある」人に限ったうえで、建物の区分ごとに必要な資格を定めています。甲種防火対象物では甲種防火管理講習の修了者などが必要です。乙種防火対象物は、特定の用途で延べ面積300平方メートル未満、その他の用途で500平方メートル未満の建物などを指し、乙種防火管理講習の修了者でも選任できます。甲種の修了者は建物の規模にかかわらず防火管理者になれます。
講習を受けずに資格があると認められる学識経験者もいます。協会は、市町村の消防職員で管理的・監督的な職に1年以上あった人、安全管理者として選任された人、甲種危険物取扱者免状を持ち危険物保安監督者に選任された人、1年以上防火管理の実務経験がある一級建築士などを例に挙げ、証明方法は消防本部に問い合わせるよう案内しています。
日本防火・防災協会の講習内容と受講料
| 講習 | 対面型 | オンライン型の受講期間 | 受講料(税込) |
|---|---|---|---|
| 甲種防火管理新規講習 | 連続2日間・10時間 | 12日間 | 8,000円 |
| 乙種防火管理講習 | 1日間・5時間 | 7日間 | 7,000円 |
| 防火・防災管理新規講習 | 連続2日間・12時間 | 14日間 | 10,000円 |
| 甲種防火管理再講習 | 半日・2時間 | 5日間 | 7,000円 |
新規講習の最後には効果測定があり、理解が不十分と判断されると修了証の交付が保留され、補講を受けることがあります。対面型では遅刻した人は受講できず、途中退出も修了と認められません。オンライン型はカメラ付き端末と本人確認書類が必要で、各章のミニテストと効果測定があります。支払いはコンビニ決済かクレジットカード決済のみで、オンライン型は決済後のキャンセルができません。協会は令和9年度実施分から受講料を改定すると告知しています。
対面型では、消防設備点検資格者や自衛消防業務講習修了者などが一部科目の免除を申請できます。効果測定は免除されません。
修了証の有効期限と再講習
協会の説明では、防火・防災管理の修了証そのものに有効期限はありません。ただし、特定用途で収容人員300人以上の防火対象物で甲種防火管理者に選任されている人は、定められた期間内に甲種防火管理再講習を受ける必要があります。講習修了から選任までが4年以上空いた場合は選任日から1年以内、それ以外は修了後最初の4月1日から5年以内が期限で、その後も5年以内ごとに受講します。
講習の実施者は地域によって異なります。東京消防庁は、甲種防火管理講習と防災管理講習を防火・防災管理者として選任予定の人に限って実施していると案内しています。
受講前に確認する順番
当サイトの提案:最初に勤務先の建物を管轄する消防署へ、選任が必要か、必要なのは甲種か乙種かを確かめてください。乙種で足りる建物でも、将来ほかの建物を担当する可能性があれば甲種を選ぶ方法があります。次に地元の消防本部が自ら講習を行っているか、日本防火・防災協会の講習を使うかを決め、会場までの移動や受講期間を比べて対面型とオンライン型を選ぶと無理がありません。
参照資料と確認日
2026年10月4日確認。年度を記載した日程・手数料は、その年度の公式案内に基づきます。