児童心理司の位置づけ
児童心理司は、児童相談所に置かれる心理の専門職です。児童福祉法上は「心理に関する専門的な知識及び技術を必要とする指導をつかさどる所員」と書かれ、こども家庭庁の児童相談所運営指針がこの所員を児童心理司と呼んでいます。資格試験に合格して名乗る資格ではなく、都道府県や指定都市などの職員として児童相談所に勤める人の職名です。
児童相談所は、養護、障害、非行、育成などの相談を受け、一時保護や施設入所などの措置を行う行政機関です。こども家庭庁の資料によると、2025年4月1日時点で全国の児童相談所に児童心理司が3,167人、児童福祉司が6,866人配置されています。
任用の要件
児童福祉法第12条の3は、児童心理司として次のいずれかに当たる人を求めています。
- 精神保健に関して学識経験を有する医師、またはこれに準ずる資格を有する人
- 大学で心理学を専修する学科やこれに相当する課程を修めて卒業した人、またはこれに準ずる資格を有する人
- 公認心理師
運営指針は「これに準ずる資格を有する者」として、大学で心理学を専修し優秀な成績で単位を修得して大学院への入学を認められた人、大学院で心理学を専攻する研究科などを修了した人、外国の大学で心理学を専修して卒業した人を挙げています。旧記事は教育学や社会学の専修も基本要件としていましたが、法律と指針が示すのは心理学の専修です。
同じ児童相談所の職員でも、相談と調査を担う所員には児童福祉法で児童福祉司の資格が求められ、心理職とは要件が異なります。また、一時保護施設で心理療法を行う心理療法担当職員は、一時保護施設の設備及び運営に関する基準で別に資格が定められています。応募の際は、募集される職がどれに当たるかを確認してください。
仕事の内容
運営指針によると、児童心理司などは心理学的諸検査や面接、観察を通じて、こどもの人格全体と家族の心理学的評価を行います。こどもの能力や適性、問題の心理学的な意味、心理的な葛藤、家族の人間関係などを明らかにし、この心理診断を児童福祉司の社会診断や医師の医学診断と合わせて、援助の方針を決める判定に使います。
指針は、児童心理司を児童福祉司2人につき1人以上配置することを標準とし、両者がチームを組んで対応できる体制が望ましいとしています。また、児童心理司と心理療法担当職員を指導する児童心理司スーパーバイザーには、心理判定や心理療法、カウンセリングで少なくとも10年程度の経験など相当程度の熟練が求められます。児童心理司スーパーバイザーは、指導に必要な知識と技術を身につけるためのスーパーバイザー研修を受講することが望ましいとされています。運営指針は、職員が外部の専門家による指導や各種研修会・学会への参加を通じて資質の向上に努めることも求めています。
児童相談所が受ける相談は、保護者の入院や虐待などによる養護相談、未熟児や疾患に関する保健相談、知的障害や自閉症などの障害相談、ぐ犯行為や触法行為などの非行相談、しつけや不登校などの育成相談に分かれます。児童心理司は、これらの相談で心理検査や面接を担当し、必要に応じてこどもや保護者への心理的な指導も行います。
なり方と採用試験
児童心理司になるための国家試験や受験料はありません。多くの場合、都道府県や指定都市などが行う心理職の職員採用試験に合格し、児童相談所に配属されます。試験の時期、年齢の上限、必要な学歴や資格の扱いは自治体ごとに異なります。旧記事にあった入門書やウェブ教材の紹介は、任用の要件とは関係がないため削除しました。
当サイトの提案
当サイトの提案:まず、働きたい自治体の職員採用ページで心理職の区分と応募条件を確認してください。大学生の場合は、心理学を専修する課程を卒業すれば児童福祉法の要件に当てはまります。公認心理師の取得を目指すかどうかは、自治体の応募条件で公認心理師が必須か、または優遇されるかを確かめてから決めると、進学先や学ぶ科目を選びやすくなります。
参照資料と確認日
2026年10月4日確認。年度を記載した日程・手数料は、その年度の公式案内に基づきます。