対象となる業務
労働安全衛生規則第36条第33号は、「自動車(二輪自動車を除く。)用タイヤの組立てに係る業務のうち、空気圧縮機を用いて当該タイヤに空気を充てんする業務」を特別教育の対象としています。タイヤをリムに組み込み、空気圧縮機で空気を入れる作業がこれに当たります。二輪自動車のタイヤや自転車のタイヤは、この号の対象に含まれません。
旧記事は自転車のバルブ形式や乗用車の日常的な空気圧点検を中心に説明していましたが、特別教育が求められるのは、タイヤの組立てに伴う空気充てんの業務です。事業者は、この業務に労働者を就かせる前に、労働安全衛生法第59条第3項に基づく特別教育を行います。国家試験や免許はなく、「タイヤの空気充填作業者」は特別教育を修了した人を指す呼び方です。
教育の科目と時間
安全衛生特別教育規程第20条が定める内容です。時間は最低時間です。
| 区分 | 科目・範囲 | 時間 |
|---|---|---|
| 学科 | タイヤ及びその組込みに関する知識(タイヤの種類及び構造、リムへの組込み及びその状況の点検の方法) | 2時間 |
| 学科 | タイヤの空気充てん作業に関する知識(圧力調節装置の種類・構造・取扱い、空気圧縮機を用いた充てんの方法、安全囲い等の使用方法) | 2時間 |
| 学科 | 関係法令 | 1時間 |
| 実技 | タイヤの組込み(リムへの組込み及びその状況の点検) | 2時間 |
| 実技 | タイヤの空気充てん(圧力調節装置の操作、空気圧縮機を用いた充てん) | 2時間 |
学科は合計5時間以上、実技は合計4時間以上です。安全囲い等の使用方法が学科の範囲に入っているのは、充てん中のタイヤやリムの破裂などに備えるためです。
科目の省略と自動車整備士
労働安全衛生規則第37条により、事業者は十分な知識及び技能を有すると認められる労働者について、特別教育の科目の全部または一部を省略できます。厚生労働省の検討会報告書(平成31年4月)は、第33号の業務について、二級ガソリン自動車整備士等の技能検定に合格した者等を十分な知識及び技能を有すると認められる者として差し支えないとされている、と紹介しています。省略の可否は、保有する整備士の種類を確認したうえで事業者が判断します。
受講方法と事業者の義務
教育は事業者が自ら行うか、業界団体などに委託します。東京労働局の一覧では、この業務の教育が学科5・実技4として掲載され、タイヤ関係の商工協同組合が実施団体として示されています。全国統一の受講料や日程はなく、実施機関の案内で確認します。
事業者は受講者・科目等の記録を3年間保存します(第38条)。労働安全衛生法第59条第3項に違反した場合、第119条により6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。
外部に委託した教育でも、内容の確認は事業者の責任です。山口労働局は、ある実施者が発行した特別教育修了証が教育時間の不足等により無効であると公表し、その修了証で労働者を業務に就かせていた事業者に改めて特別教育を行うよう求めました。同局は、委託する場合には法令に定められた教育科目・範囲・時間どおりに実施されたかを事業者が確認する必要がある、と示しています。
受講前に確認したいこと
当サイトの提案:まず、担当業務にタイヤのリム組みと空気圧縮機による充てんが含まれるかを確認します。整備士資格を持つ従業員は、資格の種類を記録し、省略できる科目があるかを社内で判断して書面に残します。教育を受けた後は、安全囲いの使用や圧力調節装置の点検を作業手順書に組み込み、修了記録とあわせて保管しましょう。
参照資料と確認日
2026年10月3日確認。年度を記載した日程・手数料は、その年度の公式案内に基づきます。