事前調査と調査者の関係
石綿障害予防規則第3条により、事業者は建築物、工作物、鋼製の船舶の解体や改修(封じ込め・囲い込みを含む)を行うとき、あらかじめ石綿等の使用の有無を調査しなければなりません。調査は設計図書等の確認と目視で行い、それでも分からない場合は分析調査を行うか、石綿等が使われているものとみなして対策をとります。同条第4項は、事前調査を必要な知識を持つ者として厚生労働大臣が定める者に行わせるよう求めています。
厚生労働省の案内では、2023年10月1日以降に着工する工事から、建築物の解体等の事前調査は建築物石綿含有建材調査者、または2023年9月30日までに日本アスベスト調査診断協会に登録された者が行う必要があります。調査者の資格は、建築物石綿含有建材調査者講習等登録規程に基づき都道府県労働局に登録された機関の講習を修了して得ます。道路や橋などの工作物の調査には、工作物石綿事前調査者という別の講習が設けられています。
3つの区分と講習の方法
| 区分 | 調査できる範囲 | 講習の方法 |
|---|---|---|
| 一般建築物石綿含有建材調査者 | 全ての建築物 | 講義11時間と筆記試験 |
| 特定建築物石綿含有建材調査者 | 全ての建築物 | 講義11時間、実地研修、筆記試験、口述試験 |
| 一戸建て等石綿含有建材調査者 | 一戸建て住宅と共同住宅の住戸の専有部分 | 講義7時間と筆記試験 |
一戸建て等の区分では、共同住宅のベランダや廊下などの共用部分と店舗併用住宅は対象外です。一般と特定の講義は、基礎知識1・2(各1時間)、石綿含有建材の建築図面調査(4時間)、現場調査の実際と留意点(4時間)、調査報告書の作成(1時間)で構成されます。一戸建て等は、図面調査の代わりに一戸建て住宅等における石綿含有建材の調査(1時間)があり、現場調査は3時間です。
受講資格
一般と一戸建て等の受講資格には、石綿作業主任者技能講習の修了者、大学で建築の課程を修めて卒業後2年以上の建築の実務経験がある人、高校で建築の課程を修めて卒業後7年以上の実務経験がある人、建築に関して11年以上の実務経験がある人、建築行政や石綿の飛散防止に関する環境行政に2年以上従事した人、2年以上の経験がある労働基準監督官などがあります。特定では、石綿作業主任者技能講習の修了者は建築物石綿含有建材調査に関する5年以上の実務経験が必要で、一般建築物石綿含有建材調査者として2年以上の調査実務がある人も対象になります。
石綿作業主任者技能講習の修了者は基礎知識1の受講を免除できます。工作物石綿事前調査者や、その講義を一定期間内に受講した人は、基礎知識1・2と報告書作成の受講を免除できます。
講習機関と報告制度
厚生労働省のポータルサイトによると、建築物石綿含有建材調査者講習の登録講習機関は2026年8月18日時点で129機関、修了者は2026年6月末時点で276,285人です。日程や受講料は機関ごとに異なるため、ポータルサイトの一覧から直接問い合わせます。
事前調査の結果は、一定規模の工事では所轄労働基準監督署長への電子報告が必要です(石綿障害予防規則第4条の2)。建築物では、解体工事は対象部分の床面積の合計が80平方メートル以上、改修工事は請負代金が100万円以上のものが対象です。旧記事の「改修対象面積20平方メートル以上」は同条の要件と一致しないため訂正しました。
受講を考えている人へ
当サイトの提案:最初に、担当する建物が一戸建て住宅等に限られるか、店舗やビルも含むかを整理して区分を選んでください。共用部分や店舗併用住宅を扱う可能性があるなら一戸建て等では足りません。次に、受講資格のどの号に当たるかを卒業証明書や実務経験の証明で示せるか確認し、石綿作業主任者技能講習の修了者は免除の申請も講習機関に伝えるとよいでしょう。
参照資料と確認日
2026年10月4日確認。年度を記載した日程・手数料は、その年度の公式案内に基づきます。