特定建築物調査員の仕事
建築基準法第12条第1項は、政令で定める建築物や特定行政庁が指定した特定建築物の所有者(管理者が別にいる場合は管理者)に対し、敷地、構造、建築設備の状況を定期に調査させ、その結果を特定行政庁に報告するよう義務づけています。調査を行えるのは、一級建築士、二級建築士、または建築物調査員資格者証の交付を受けた人です。資格者証を持つ人を特定建築物調査員と呼びます。
日本建築防災協会の案内によると、対象になるのは劇場、百貨店、ホテル、病院など不特定多数の人が利用する建築物です。特定建築物調査員は、同条第2項に基づく国などの公共建築物の定期点検も行えます。国土交通省の案内では、一級建築士や二級建築士は資格者証の申請をしなくても定期調査を行えますが、業務を行うには建築士事務所の登録が必要です。
資格を得るまでの流れ
特定建築物調査員になるには、国土交通大臣の登録を受けた講習を受講し、最後の修了考査に合格します。合格者には講習修了証明書が交付され、交付日から3か月以内に、住んでいる都道府県を管轄する地方整備局長等へ資格者証の交付を申請します。3か月を過ぎると資格者証は交付されません。申請には申請書、住民票の写しかマイナンバーカードの写し、返信用封筒、修了証明書の写しなどが必要です。資格者証を受け取った時点で特定建築物調査員になります。
日本建築防災協会の令和7年度講習では、修了考査の受検者667名のうち、30問中20問以上の正解で合格とされた修了者は503名でした。
受講資格
日本建築防災協会の受講資格一覧表では、次のいずれかに当たる人が受講できます。
- 建築学、土木工学、機械工学、電気工学に相当する課程を修めた人で、大学卒業後2年以上、3年制短期大学卒業後3年以上、2年制短期大学か高等専門学校の卒業後4年以上、高等学校か中等教育学校の卒業後7年以上の建築に関する実務経験がある人
- 建築に関して11年以上の実務経験がある人
- 特定行政庁の職員で、建築行政に関して2年以上の実務経験がある人
- 消防吏員として火災予防業務に関する5年以上の実務経験がある人
- 防火対象物点検資格者、または甲種消防設備士として、免状取得後に5年以上の実務経験がある人
- 専修学校や職業能力開発大学校などの相当する課程を修了し、一定の実務経験がある人
申込では受講資格証明書のほか、区分に応じて卒業証明書や免状の写し、年金事務所が発行する被保険者記録照会回答票を提出します。
令和8年度の講習日程と受講料
令和8年度の受講料は54,450円(税込)です。講義は録画をWEBで視聴する方法と会場で視聴する方法から選び、内容は同じです。WEB受講の視聴期間は10月28日から11月17日までで、期間内に全講義の視聴を終えることが修了考査を受ける条件です。会場受講は11月24日から27日までの4日間です。修了考査はどちらの方法でも11月27日に会場で行われ、開催地は東京(TOC有明)、大阪(天満研修センター)、福岡(天神ビル、WEB受講者の考査のみ)です。
申込受付は2026年5月13日から8月7日までで、すでに終了しています。修了考査結果のメール通知と講習修了証明書の交付は令和9年1月上旬の予定です。次の年度の講習は、協会が新しい受講案内を公開してから申し込むことになります。
受講を検討する人へ
当サイトの提案:まず、一級建築士か二級建築士の免許を持っているかを確認してください。建築士であれば資格者証がなくても定期調査を行えるため、講習を受ける必要があるかを勤務先と相談します。建築士でない場合は、受講資格一覧表で自分の学歴と建築の実務年数がどの区分に当たるかを確かめ、被保険者記録照会回答票を年金事務所やマイナポータルで早めに取得しておきます。令和8年度の申込は終わっているため、次の年度の受講案内が公開される春ごろに日程を確認し、修了証明書の交付から3か月以内に地方整備局へ申請する予定まで組んでおくと手続きが途切れません。
参照資料と確認日
2026年10月4日確認。年度を記載した日程・手数料は、その年度の公式案内に基づきます。