品質管理士が扱う分野
農業水利施設補修工事品質管理士は、農業水利施設のうち、開水路や頭首工などのコンクリート構造物の補修に関わる分野を対象とした資格です。一般社団法人農業土木事業協会が実施する講習会を受講し、試験で一定水準の補修工事の技術があると認定され、登録した人に与えられます。
協会は制度の背景として、令和3年度末までに整備された約23,500か所の農業水利施設のうち、12,400か所が標準耐用年数を超えていることを挙げています。また、補修材料や工法には建築や下水道など他分野で開発されたものが多く、農業水利施設に求められる性能に合うかを見極める力が必要だとしています。品質管理士には、要求性能に合った材料・工法を選び、施工管理で品質を確保する役割が期待されています。協会によると、農林水産省は平成26年度から農村振興局所管の直轄工事の総合評価落札方式で、品質管理士の保有者を技術者評価の加点対象にしており、補修工事の設計業務でも加点の対象になります。
講習の受講資格と内容
2026年度の講習は、4月1日時点で次のいずれかに当たる人が対象でした。技術士(農業部門の農業土木または農業農村工学)、一級または二級土木施工管理技士、農業土木技術管理士、コンクリート技士、コンクリート診断士、農業水利施設の施工または施工管理に関する実務経験7年以上の人です。実務経験は、農業水利施設工事の設計、施工・施工管理に直接関わる技術上の職務経験を指します。
講習はWeb形式で、2026年度は6月8日から7月10日までの間に、表面被覆工、表面含浸工法、ひび割れ補修工法、断面修復工法、目地補修工法、補強工法の概要などのコンクリート構造物の講義と、鞘管工法や反転・形成工法などのパイプラインの講義を受けました。講習には定員がなく、受講料はテキスト代込みで30,800円です。
2026年度の認定試験と結果
認定試験の受験資格は、平成24年度以降の講習修了者です。2026年度は講習と同じ4月1日から5月31日までに申込を受け付け、8月1日(土)13時から14時30分まで、仙台、東京、金沢、名古屋、福岡の5会場で試験が行われました。受験料は11,000円です。
試験は補修工事に関する技術基準や技術的知識を問う四肢択一式で、出題範囲は「農業水利施設補修・補強工事のためのガイドライン【コンクリート構造物編】」です。テキストに含まれるパイプライン編からは出題されません。協会が10月1日に公表した2026年度の結果は、受験者159名、合格者105名で、合格率は66.0%でした。合格すると農業農村工学会技術者継続教育機構のCPD10ポイントが付与されます。
登録と更新
合格者は、2026年10月1日から2027年1月31日までに登録を申し込みます。登録料は11,000円で、資格者証を希望する場合は別に3,000円かかります。新規登録は専用のWeb申込フォームでも手続きできます。登録の有効期間は5年間です。更新では、協会ホームページの「農業土木事業協会ストックマネジメント講座」を視聴して確認アンケートを作成し、更新登録料22,000円を納めて申し込みます。
当サイトの提案:2027年度に受けたい人は、協会の資格概要で示されている4月〜5月頃の申込時期に備えて、土木施工管理技士やコンクリート技士などの合格証明書・登録証の写しを手元に用意しておいてください。どの資格もない場合は、実務経歴書に記入する補修・施工管理の業務を年月単位で整理し、所属機関の公印をもらえるよう準備しておくと申込がスムーズです。試験範囲がコンクリート構造物編に絞られているので、講習で配られる練習問題とあわせて、表面被覆工や断面修復工法の章を重点的に読み込むとよいでしょう。
参照資料と確認日
2026年10月4日確認。年度を記載した日程・手数料は、その年度の公式案内に基づきます。