「教示等」の業務とは
労働安全衛生規則第36条第31号は、産業用ロボットの可動範囲内で行うマニプレータの動作の順序、位置もしくは速度の設定、変更または確認を「教示等」と定義し、その業務を特別教育の対象としています。可動範囲内で教示等を行う労働者と共同して、可動範囲外で教示等に関する機器を操作する業務も含まれます。産業用ロボットの駆動源を遮断して行う教示等は除かれます。
同号は、研究開発中のものその他厚生労働大臣が定めるものを産業用ロボットから除いています。厚生労働省のパンフレットは、規制の対象となる産業用ロボットを定格出力80ワットを超えるものとして説明しています。導入するロボットが対象かどうかは、定格出力などの仕様で確認します。
この教育は国家試験による免許ではありません。「教示等作業者」は特別教育を修了した人を指す呼び方で、修了証は教育を行った事業者や実施機関が発行します。
教育の科目と時間
安全衛生特別教育規程第18条が定める内容です。時間は最低時間です。
| 区分 | 科目・範囲 | 時間 |
|---|---|---|
| 学科 | 産業用ロボットに関する知識(種類、各部の機能及び取扱いの方法) | 2時間 |
| 学科 | 教示等の作業に関する知識(作業の方法、作業の危険性、関連する機械等との連動の方法) | 4時間 |
| 学科 | 関係法令 | 1時間 |
| 実技 | 産業用ロボットの操作の方法 | 1時間 |
| 実技 | 教示等の作業の方法 | 2時間 |
学科は合計7時間以上、実技は合計3時間以上です。検査・修理・調整を運転中に行う「検査等」の業務には、第19条の別の教育(学科9時間・実技4時間以上)が定められています。両方の作業を担当する人は、それぞれの教育が必要かを確認してください。
教示等の作業で事業者が講じる措置
労働安全衛生規則第150条の3は、可動範囲内で教示等を行う場合に、不意の作動や誤操作による危険を防ぐ措置を事業者に求めています。具体的には、操作の方法と手順、作業中のマニプレータの速度、複数の労働者で作業する場合の合図、異常時の措置、異常停止後に再起動するときの措置などを規程に定め、それに従って作業させます。作業者や監視者が異常時にただちに運転を停止できる措置や、作業中に他の者が起動スイッチ等を操作しないよう表示する措置なども定められています。
運転中のロボットに接触する危険があるときは、第150条の4により柵や囲いなどの措置が必要です。厚生労働省のパンフレットは、リスクアセスメントで接触による危険のおそれがなくなったと評価できる場合の扱い(人との協働作業)も説明しています。
受講方法・費用と事業者の義務
教育は事業者が自ら行うか、ロボットメーカーや安全衛生団体などに委託します。全国統一の受講料や日程はありません。事業者は受講者・科目等の記録を3年間保存します(第38条)。労働安全衛生法第59条第3項に違反した場合、第119条により6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。
外部に委託した教育でも、内容の確認は事業者の責任です。山口労働局は、ある実施者が発行した特別教育修了証が教育時間の不足等により無効であると公表し、その修了証で労働者を業務に就かせていた事業者に改めて特別教育を行うよう求めました。同局は、委託する場合には法令に定められた教育科目・範囲・時間どおりに実施されたかを事業者が確認する必要がある、と示しています。
受講前に確認したいこと
当サイトの提案:まず担当する作業が、駆動源を入れたまま可動範囲内で行う教示等に当たるかを確認します。次に、講習の案内で学科7時間・実技3時間の構成と、実技を自社の機種で行うかどうかを確かめます。修了後は、第150条の3が求める作業規程(速度、合図、異常時の措置、再起動の手順)を自社のロボットに合わせて作成し、教育の記録と一緒に保管しましょう。
参照資料と確認日
2026年10月3日確認。年度を記載した日程・手数料は、その年度の公式案内に基づきます。