「検査等」の業務とは
労働安全衛生規則第36条第32号は、産業用ロボットの可動範囲内で行う検査、修理もしくは調整(教示等に当たるものを除く)またはこれらの結果の確認を「検査等」とし、その業務を特別教育の対象としています。対象は産業用ロボットの運転中に行うものに限られます。可動範囲内で検査等を行う労働者と共同して、可動範囲外で検査等に関する機器を操作する業務も含まれます。
この教育は国家試験による免許ではありません。「検査等の作業者」は、特別教育を修了した人を指す呼び方です。動作の順序や位置・速度を設定する教示等の業務には、第31号の別の教育(学科7時間・実技3時間以上)があります。
教育の科目と時間
安全衛生特別教育規程第19条が定める内容です。時間は最低時間です。
| 区分 | 科目・範囲 | 時間 |
|---|---|---|
| 学科 | 産業用ロボットに関する知識(種類、制御方式、駆動方式、各部の構造及び機能並びに取扱いの方法、制御部品の種類及び特性) | 4時間 |
| 学科 | 検査等の作業に関する知識(作業の方法、作業の危険性、関連する機械等との連動の方法) | 4時間 |
| 学科 | 関係法令 | 1時間 |
| 実技 | 産業用ロボットの操作の方法 | 1時間 |
| 実技 | 検査等の作業の方法 | 3時間 |
学科は合計9時間以上、実技は合計4時間以上です。旧記事にあった「学科9時間21分」という時間は告示にありません。東京労働局の一覧でも、検査等の業務は学科9・実技4として掲載されています。
検査等で事業者が講じる措置
労働安全衛生規則第150条の5は、可動範囲内で検査、修理、調整、掃除、給油やその結果の確認を行うとき、事業者がロボットの運転を停止し、作業中は起動スイッチに錠をかけ、作業中である旨を表示するなど、他の者が起動スイッチを操作しないための措置を講じることを求めています。
運転中に作業しなければならない場合に限り、操作の方法と手順、合図の方法、異常時の措置、再起動時の措置などを規程に定めて作業させるなど、同条ただし書の措置を講じることで運転中の作業が認められます。特別教育が必要になるのは、この運転中の検査等です。
受講方法と事業者の義務
教育は事業者が自ら行うか、ロボットメーカーや安全衛生団体などに委託します。全国統一の受講料や日程はなく、実施機関の案内で確認します。十分な知識・技能を有すると認められる労働者については、科目の全部または一部を省略できます(第37条)。事業者は受講者・科目等の記録を3年間保存します(第38条)。労働安全衛生法第59条第3項に違反した場合、第119条により6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。
外部に委託した教育でも、内容の確認は事業者の責任です。山口労働局は、ある実施者が発行した特別教育修了証が教育時間の不足等により無効であると公表し、その修了証で労働者を業務に就かせていた事業者に改めて特別教育を行うよう求めました。同局は、委託する場合には法令に定められた教育科目・範囲・時間どおりに実施されたかを事業者が確認する必要がある、と示しています。
受講前に確認したいこと
当サイトの提案:最初に、自社の保全作業のうち運転を止められず可動範囲内で行うものを洗い出します。運転を停止して施錠・表示できる作業は、その手順を整えることが優先です。運転中の作業が残る場合は、学科9時間・実技4時間の教育を受けさせ、第150条の5ただし書が求める作業規程を機種ごとに作成しておきましょう。
参照資料と確認日
2026年10月3日確認。年度を記載した日程・手数料は、その年度の公式案内に基づきます。