合格率10%の試験より、合格率50%の試験のほうが難しいことがある

このサイトでは1,300を超える資格のデータを扱っていて、私は合格率や勉強時間といった数字の収集・更新を担当しています。毎日いろんな試験の数字とにらめっこしている生活なのですが、白状すると、この仕事を続けるうちに「合格率」という数字をだんだん素直に信じられなくなってきました。

数字そのものは各試験の実施団体が発表している公式の値ですから、正確です。信用できなくなったのは、「合格率が低い=難しい」「高い=簡単」という、あの直感的な読み方のほうです。

合格率90%の試験は「簡単」なのか

看護師国家試験の合格率は、毎年90%前後です。10人受けて9人受かる。数字だけ見れば「ほぼ落ちない試験」に見えます。

でも、この試験を受けられるのは看護師養成課程を修了した(見込み含む)人だけです。つまり会場に座っている時点で、全員が3年以上の専門教育をくぐり抜けてきた人たち。そのなかでの90%です。学校側も合格実績を公表される立場なので、合格が厳しそうな学生はその手前の段階でふるいにかかる、という話も体験談を読んでいるとちらほら出てきます。分母が徹底的に絞り込まれた末の90%なんですね。

一方で、宅地建物取引士の合格率は毎年15〜17%前後。数字の上では看護師国家試験よりはるかに狭き門に見えます。ただし宅建に受験資格はありません。誰でも申し込めます。会社に言われてとりあえず申し込んだ人、参考書を一周もできないまま当日を迎えた人、そういう層もぜんぶ含めたうえでの15%です。

この2つの「難しさ」を合格率だけで比べるのは、ほとんど意味がないと思っています。

合格率が低い試験には、二つのタイプがある

低い合格率にも、中身の違いがあります。

ひとつは、宅建や行政書士のように受験のハードルが低いぶん、準備不足の受験者が分母をふくらませているタイプ。きちんと勉強した人だけに絞れば、体感の合格率は公表値よりだいぶ高いはずです。

もうひとつが厄介で、分母がすでに精鋭ぞろいなのに低いタイプです。たとえば中小企業診断士の二次試験は合格率18%前後ですが、受験できるのは一次試験を突破した人だけ。母集団の全員が、あの一次を乗り越えてきた人たちです。税理士の科目合格率も同じ構造で、会計や税務を本業にしている人たちが何百時間も積み上げて挑んで、それでも科目ごとに10〜20%前後しか受かりません。

同じ「合格率15%」でも、前者と後者ではまるで別物です。むしろ数字が同じぶん、たちが悪いとすら思います。

同じ試験なのに、回によって大きくブレる

もうひとつ、データを更新していて気になるのが回ごとのブレです。日商簿記検定の2級は分かりやすい例で、回によって合格率が一桁まで落ちることもあれば、30%を超えることもあります。同じ資格、同じ級でこれです。たまたま難しい回に当たった人と易しい回に当たった人で、それだけの差が出てしまう。

だから「最新の合格率」をひとつだけ見て判断するのは、けっこう危ない。直近1回分の数字は、その資格のほんの一面しか写していません。

じゃあ、どう読めばいいのか

私のおすすめは、合格率を単体で見ないことです。具体的には、勉強時間の目安と受験資格をセットで見る。合格率50%でも数百時間の準備が前提の試験はありますし、合格率15%でも100時間圏内で十分戦える試験もあります。「ふるい落とされる確率」と「払うコスト」は別の軸なので、両方見ないと本当の難易度は見えてきません。

当サイトのランキングや各資格のページでは、合格率を勉強時間・受験資格と並べて載せるようにしています。資格選びのときは、合格率の数字に驚く前に「その分母には誰がいるのか」を一度だけ考えてみてください。それだけで、数字の見え方がかなり変わるはずです。

マサキ
マサキ
編集・分析担当
国家資格・民間資格あわせて1,300超の試験データを管理しながら、合格者ブログ・体験談・SNS投稿を日々読み込んでいます。公式統計だけでは見えない「実際の手応え」「つまずきポイント」を受験生視点で記事に落とし込むのが担当です。

一次情報は各試験実施機関の公式サイトと公的統計を基本とし、体験談ベースの記述は複数記事で裏付けが取れたものだけを採用。資格選びで遠回りや後悔をしない判断材料を提供することを目的にしています。
マサキ
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国家資格・民間資格あわせて1,300超の試験データを管理しながら、合格者ブログ・体験談・SNS投稿を日々読み込んでいます。公式統計だけでは見えない「実際の手応え」「つまずきポイント」を受験生視点で記事に落とし込むのが担当です。

一次情報は各試験実施機関の公式サイトと公的統計を基本とし、体験談ベースの記述は複数記事で裏付けが取れたものだけを採用。資格選びで遠回りや後悔をしない判断材料を提供することを目的にしています。