高速道路点検診断資格の区分
高速道路点検診断資格は、公益財団法人高速道路調査会が運営する民間の資格制度です。調査会は、供用から30年以上たつ区間が増え、橋梁・土工構造物・トンネルなどの老朽化が目立ってきたことから、点検診断技術者の育成と技術力向上を目的に講習会と資格試験を実施しています。称号を得るには、該当する講習をすべて受け、試験に合格したうえで資格登録をする必要があります。
資格は「土木」と「施設」の2分野に分かれ、それぞれに3段階の称号があります。土木はトンネル・橋などの道路構造物と土木附属物、施設は道路照明などの施設附属物が対象です。
| 称号 | 想定される役割 |
|---|---|
| 高速道路点検診断士(土木・施設) | 点検に関して指導的立場となる技術者。点検計画の立案、報告書の作成、健全性の総合的な診断など |
| 高速道路点検士(土木・施設) | 点検に関して中心的立場となる技術者。点検の実施、個別変状の判定、点検記録の登録など |
| 高速道路点検士補(土木・施設) | 点検の実施や個別変状判定の補助、点検記録の登録などを行う技術者 |
このうち点検診断士(土木)と点検士(土木)は、国土交通省の「公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格登録規程」に基づき、橋梁(鋼橋・コンクリート橋)、トンネル、道路土工構造物、舗装、小規模附属物の点検や診断を担当する技術者の資格として登録されています。施設の点検診断士と点検士も、小規模附属物の分野で登録されています。調査会が示す国土交通省登録資格の一覧に、点検士補は載っていません。
受験に必要な経験年数
受験するには、高速道路等での実務経験と点検経験の両方が必要です。ここでいう高速道路等には、高速自動車国道、自動車専用道路、NEXCO3社や首都高速道路、阪神高速道路、本州四国連絡高速道路が管理する道路が含まれます。申込時に指定の公的資格を持っていれば、経験年数を括弧内の年数に短縮できます。
| 受験する資格 | 実務経験 | 点検経験 | 短縮の対象となる主な資格 |
|---|---|---|---|
| 点検診断士(土木) | 8年(5年) | 5年(3年) | 技術士(総監・建設・農業・森林・応用理学)、RCCM、土木学会1級土木技術者以上、国に登録された技術者資格 |
| 点検士(土木) | 5年(3年) | 3年(1年) | 上記に加えて1級土木施工管理技士 |
| 点検士補(土木) | 1年(0年) | 不要 | 上記に加えて2級土木施工管理技士、土木学会2級土木技術者 |
施設分野も年数は同じですが、短縮の対象に電気電子・機械などの技術士部門や1級建築士、各種1級・2級施工管理技士が加わります。同じ年度に受けられるのは、土木と施設のどちらか1つだけです。
2026年度の講習・試験日程と受講・受験料
2026年度(令和8年度)の受験申込は、5月25日から6月26日まででした。ウェブ申込に加えて、会社代表者印を押した経歴証明及び専門分野申告書(様式-1)の郵送も必要です。講習会はビデオ・オン・デマンド方式のウェブ講習で、9月1日から24日まで開かれました。試験は10月18日に札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡で行われ、点検士の資格を持たずに土木の点検診断士または点検士を受ける人は、10月19日に東京都調布市、愛知県尾張旭市、大阪府茨木市の会場で現場記述式の実技試験も受けます。合格発表は2027年1月26日の予定です。
受講・受験料(税込)は、テキスト代・講習費用・試験費用を含めて次のとおりです。下位資格を持っている人は安くなります。
| 受験する資格 | 土木 | 施設 |
|---|---|---|
| 点検診断士(資格なし) | 75,900円 | 70,400円 |
| 点検診断士(点検士保有) | 38,500円 | 35,200円 |
| 点検士(資格なし) | 73,700円 | 68,200円 |
| 点検士補 | 23,100円 | 25,300円 |
試験の内容
土木の試験は、基本共通(択一式45問・90分)、専門I(択一式45問・90分、記述式800字の必須問題と選択問題を各60分)、専門II(記述式800字・90分)と実技で構成され、受ける資格と保有資格によって受験科目が変わります。専門IIは健全性の診断がテーマで、点検診断士(土木)の受験者は申込時に橋梁・トンネル構造物・土工構造物から専門分野を1つ選び、その分野の問題に答えます。施設の試験は、基本共通(択一式45問)、専門I(択一式20問、実技の択一式20問、記述式)、専門II(施設点検のマネジメントに関する記述式)で構成されます。
合格後の登録と更新
合格しただけでは称号を名乗れず、資格登録が必要です。合格者は試験の年度とその翌年度から3年間のうち、年1回の受付期間に登録できます。2026年度試験の合格者の登録受付は2027年1月27日から2月9日までの予定で、2025年度に案内された資格登録料はどの称号も6,050円(税込)でした。
有効期限は試験年度の翌年度から5年目の年度末までです。更新するには、有効期限の年度かその前年度に更新講習を修了し、期限内に登録します。期限が過ぎると資格は停止され、3年以内に更新講習を修了すれば再登録できますが、3年を超えると抹消されます。
申込前に確認したいこと
当サイトの提案:まず自分の点検経験が高速道路等での点検として数えられるかを、受講・受験案内書の定義で確かめてください。次に、技術士やRCCMなど経験年数を短縮できる資格を持っているかを確認し、資格者証の写しを用意します。団体申込の場合は経歴証明に会社代表者印が必要なので、申込期間が始まる5月より前に社内の手続きを決めておくと慌てずに済みます。合格後は登録期限と5年ごとの更新講習の年度を手帳などに記録しておくことをおすすめします。
参照資料と確認日
2026年10月4日確認。年度を記載した日程・手数料は、その年度の公式案内に基づきます。